株式会社 Jコスト研究所

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J-Cost Research Center

連載コラム 『Jコスト改革の考え方』目次はこちら

2017年1月より、『Jコスト改革の考え方』というコラムをおよそ月に一度の頻度で更新していきます。

弊社の所信表明過去の所信表明はこちら

2022年1月

2022年 年頭のご挨拶

遅ればせながら,明けましておめでとうございます.

本年もよろしくお願いいたします.

このホームページも, コロナ禍の影響で 丸一年お休みを頂いてしまいました.

誠に申し訳ありませんでした.

2022年度は,『Jコスト論』 普及のために頑張っていきたいと思っております.


TQCの基本原理は通常PDCAと覚えます.更地に計画を立てる場合はこれでよいのですが,前年に引き継いだ業務を今年どのように展開させるかという場合は,まず今までの反省があって,その上に立って次の展開をする必要があります.

つまりこの場合はCAPDつまり,前年度の反省が1番にあり,それを分析した結果,今年度の実施計画ができるわけです.


この文脈に従って,まずこのコラム2019年12月号の記事の続きからお話ししたいと思います.(さかのぼって,その記事をお読みください…)


2019年6月,中国河南省にある国営企業『新航グループ』と改善支援の契約を結び,9月に幹部に『本流トヨタ方式』と『Jコスト論』の研修会を実施し,10月から翌年4月まで第一次展開として4工場の改善を現地指導することになりました.

ところが突然のコロナ騒動で2020年から渡航禁止になり,以後2022年の今日まで中国には渡れない状況が続いております.

田中が行けなくなった状況下でも,彼らは自分達だけで改善を進め成果を上げ,コロナの影響で悩む全中国の企業にこの成果を伝えるべきだという董事長の判断で,2019年〜2020年の活動内容は10月21日に中国全土に向けてネット配信されました.この件はこのHP内でもご案内いたしましたが,ご覧になられた方もいると思います.

今はもう配信されていませんが,下記に写真で記録してあります.

この改善成果に関する弊社のコメントは12月号に詳しく記載しましたが,中国における精益活動の元締めである趙克強博士は,この成果発表を高く評価し機関誌『PlanetLEAN』に投稿しました.是非ご覧ください.

The J-Cost theory - Planet Lean on boosting financial results

『Jコスト論』が第三者によって英文で紹介された最初の事例となりました.


2020年秋からは,この活動を残りの工場全部にも展開していきました.時々リモート会議を持ち,質問に答え,改善の急所の講義もしました.


2021年秋,『新航グループ』から大きな成果を上げたので,その報告と,感謝の意の表したい,同時に田中の80歳の誕生祝いをしたいと連絡がありました.

10月10日10時(日本時間),『新航グループ』『佐吉諮問(提携コンサル)』『趙克強博士』『Jコスト研』4者が国際リモート会議を行いました.

最初に『新航グループ』のプロモーション動画がありました.

その後,副総経理から改革の総括説明があり,

『会社としては,点から線へ,線から面へと物の見方を広げてきたが,Jコスト論を学んで新たに時間軸を加えることによって,会社の中の事象が平面から立体に変わった心境である…

経営目標は売上高利益率(PL)から資産利益率(BS)に変更し,現場では生産の流れを速くし,全社的には資金の流れを速くする活動に転じ,全社一体となった活動が開始され,着々と成果を上げつつある…』

旨の報告がありました.

その後現場の推進者の声を集めた動画の上映があり,各工場の改善リーダーたちが,

『こんな転換ができた…』

『このようにして現場を指導した…』

『工場で働く全員が滞留させてはいけないと思っている…』

等々自信を持って発言していました.下記がその動画です.

それから,リモート会議は誕生祝賀会になりました.

その時,趙克強博士から中国語で祝辞があり,日本語の手紙を渡されました.

『仁者寿賀田中正知』

その後副総経理からは,田中の傘寿の誕生日を祝う綺麗な『寄せ書風小冊子』を頂きました.そのPDF版が後日届きました.

小冊子の表紙には『水を飲む者はその源を思い,成果を出したときに師を思う.』その後に『田中先生80歳の誕生日おめでとうございます』と続いていました.

小冊子の中味は,指導したときのスナップ写真と,会社幹部のこれからの取り組みに対する決意表明でした.

下記がそのPDFです

『飲其流者懐其源,学其成時念吾師』

田中にとっては,80年の人生で初めての出来事で,感慨深いものがありました.

中国のこの会社の裏話として,経理部長がそれまでの改善活動に疑問を持ち,拙著『トヨタ式カイゼンの会計学』中国語訳を読み,『これだ!』と総経理を説得し上海の講演会場まで連れてきたとか…

改善契約が成立すると彼女は事務局を買って出て,今まで金額でしか把握していなかった工場各部署の原材料や中間製品の在庫量を,毎日の平均使用量で割って,在庫滞留日数何日分と言う指標を併記し,全工場に提示しました.

この経理部長は自らも在庫金額と滞留日数の表を片手に,時には総経理のお供をしながら工場長とともに現場で実態を確認し,対策の推進を促して廻ったといいます.

添付写真をご覧ください.2020年成果をNet背信したときの1コマですが,この女性が件の経理部長で後ろに写っている工場長に対して,在庫データを押し付け改善を進めさせたのでした.

因みに,製造現場にとっては原価低減は人員削減であり,厳しい負荷ですが,在庫低減はいかようにでも対応できます.しかし,在庫を減らしても欠品にならないようにするためには,品質不良や設備故障の低減,出勤率の安定化等,職場体質の強化が必須になります.

実際,職場内の滞留を無くすことで,人員,設備に余力があることが分かり,工場スペースはガラ空きになります.何より,職場内の在庫が現金になり浮いてくるのです.

粗利2割,月商10億円の会社が,滞留3ヶ月を2ヶ月(回転数を4回⇒6回)に改善すればPL上の毎月の粗利2億円の他にキャッシュフローとして約8億円の現金が手元に入ります.

この余ってきた経営資源を,新製品開発に廻すなどして会社は更なる飛躍を遂げる事ができるのです.

中国のこの新航グループはそれを理解でき,その方向への改革に乗り出したのでした.そして,この『Jコスト論』に基づいた在庫低減活動こそは,2021年1月のこのコラムで,皆さまにお伝えし,お薦めした2021年度アフターコロナに向けてやるべき社内改革でした.

恐れ入りますが,もう一度2021年1月の所信表明の記事を熟読した上で,今回掲載した『新航グループ』の発表を見直してください.


2019年に田中が彼等に教えたことは

  1. 「トヨタ生産方式の二本柱は,『自働化(品質を絶対確保)』して『JustInTime(滞留をなくしできたての商品をおとどけする)』ようになれば,利益は付いてくると言うことを意味している.

  2. この世にあるあらゆるものは時間とともに動いている.

    たとえばこの瞬間倉庫にあるAと言う100万元の在庫は,何日間で使い切ってしまうのか,Bと言う10トンのインゴットは何日でなくなるのか,無くなるまでの時間を把握すれば,今の仕組みから見て適正か?多すぎるか?が分かる.

    減っていく速さを正確に把握するためには,先ず市場で毎日平均何個売れているかを把握する必要がある.次にその売れる速さに合わせて生産するには,できるだけ小ロットで多回生産する必要がある….

  3. 『JustInTime』生産の模範は中国料理のレストランである.

    迷ったら中国料理を食べに行けば答えが出る.

等の基本的なことだけで,後は自分達で考える様に誘導したのでした.


その彼等が『自ら考えて,自ら成す』的に,自分達でやってきた事を発表しているのですが,その内容は,2021年度のアフターコロナに向けて日本企業がやるべきこととして纏めた内容を辿っていることを気づいて頂きたく思います.

このことを違う形で表現すれば,2019年10・11・12月の3ヶ月間しか現場改善指導できなかった『新航グループ』は,総経理以下全社一丸となって2021年まで『Jコスト論に基づく改革』を進める中で,

  1. 部署毎の在庫品名と在庫量から在庫期間を計算し,改革開始時からどれだけ削減したか計算でき,更に会社全体では基礎収益力(≡粗利÷棚卸資産)がどれだけ向上したか測定するプログラムを作成したこと

  2. 各工場単位で改革推進チームを編成し,工場の実態を反映させた業務分掌を作製し,更に社員に対する教育資料を編纂,教育実施してきたこと

  3. 改革を進めていくと,従来の調達・製造・営業・納品物流等の工程別管理では限界があることに気付いたこと

等の改革が進められたことが窺えます.


今回,このコラムでは敢えて『新航グループ』から頂いた資料をそのまま掲載しました.その意図は,読者の皆さまご自身で

  • 【A】2021年末における皆さまの工場の実態
  • 【B】2021年1月弊社がアフターコロナに向けてお薦めした取り組み
  • 【C】2021年10月に『新航グループ』から頂いた資料
を比較すれば,『Jコスト論』から見た御社の位置付けが明らかになります.

位置付けが明らかになれば,御社の2022年度方針で重点を置くべき事柄が明確になります.万一欠けていることがあれば,追加すれば良いのです.

『過ちては改むるに憚ること勿れ』です.

岸田新内閣は,その範を垂れています.国民もそれに従いましょう.

コロナ禍はオミクロン株による第6波が迫ってきていますが,感染力は強いモノの幸い軽症の様子です.桜が咲く頃になれば,暖かさで流行が収まると思われます.この時からいわゆる『アフターコロナ』の経済活動が先進国から始まるとでしょう.

このうねりに乗り遅れることなく御社が飛躍することを願ってやみません.


2022年1月吉日
(株)Jコスト研究所 代表 田中正知